インストラクターとしてキャリアを積んで、「そろそろ独立したい」と考える人もいるかと思います。しかし、独立するにはどうすればよいのでしょうか。
そこで今回は、インストラクターが独立する方法を手続きを含めて解説します。
独立とはそもそもなにか、独立後の働き方、インストラクターとして独立するメリット・デメリット・注意点もまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
インストラクターの独立のやり方
最初にインストラクターの独立とはなにか、独立の方法を解説します。
独立とは
独立とは、勤めていた会社を離れて自分の力で生計を得ることです。
インストラクターの独立というと、法人を設立して、「〇〇スクール」を新たに作ることだと考える人もいるでしょう。
これも独立ですが、必ずしも法人を設立すること、自分のスクールを開くことではありません。個人事業主としてインストラクター業をすることも独立です。勤めていた会社を退職して、個人事業主として業務委託契約を結ぶことも、独立と表現します。
インストラクターの独立の方法
独立の意味は大まかにお分かりいただけたかと思います。では、インストラクターはどうやって独立すればよいのでしょうか。
まず、「個人事業の開業・廃業等届出書」(いわゆる開業届)を納税地を管轄する税務署長に提出します。
開業届の提出先税務署がわからない方は、国税庁ホームページの「税務署の所在地などを知りたい方」から確認しましょう。
開業届を出す際に「屋号」を記入する欄があるので、事前に考えておくことをおすすめします。
青色確定申告を予定している方は、「青色申告承認申請書」を所轄税務署に提出します。
青色申告承認申請書は、新規開業した場合は、業務を開始した日から2ヶ月以内に提出します。新たに申請をする人(すでに独立はしていて途中から青色申告に切り替える人)は、その年の3月15日までに提出をしましょう。
参考:国税庁「青色申告制度」
インストラクターとして独立をして個人事業主として働く場合は、確定申告が必要です。確定申告は白色申告と青色申告があり、青色申告のほうが節税効果が高いため、こちらをおすすめします。
青色申告は「青色申告承認申請書」を事前に提出する必要があるため、ご注意ください。
なお、青色申告は白色申告と違い、複式帳簿となります。やや複雑なため、慣れない方は書籍などを購入して仕訳けを学ぶとよいでしょう。
【インストラクター】独立後の働き方
独立後のインストラクターの働き方について紹介します。
インストラクターが独立したあとは、次のような働き方があります。
- 自宅でレッスンをする
- 生徒宅などで出張レッスンをする
- スクールと業務委託契約を結んで仕事をする
自宅をレッスン場にして働くインストラクターもいます。自宅ではなく、近くのレンタルスペースを借りてレッスンをすることも可能です。生徒宅で出張レッスンもするインストラクターも多いです。
このように、インストラクターは独立すると働く場所を自由に選択することができるのです。
スクールと業務委託契約を結んで仕事をする場合は、正社員のように1社のみで働くのではなく、複数の企業と委託契約を結び仕事をすることもできます。収入源が複数になることでリスクヘッジができるでしょう。
インストラクターが独立するメリット・デメリット
インストラクターが独立するメリット・デメリットを解説します。
インストラクターが独立するメリット
インストラクターが独立するメリットは次のとおりです。
- 自分のペースで働くことができる
- 複数のスクールで仕事ができる
- 自由度が高い
【自分のペースで働くことができる】
独立をすれば、自分の好きな場所で働くことができます。必ずしも自宅から遠距離にあるスクールでレッスンをする必要はありません。
休みの日も自分で設定することができ、自分のペースで働けることが独立するメリットです。
【複数のスクールで仕事ができる】
インストラクターとして独立をすれば、雇用された企業に拘束されることはありません。月曜日はA社、火曜日はB社のように複数のスクールで仕事ができるため、閉塞感を覚えることなく仕事ができるでしょう。収入源を複数作ることもできます。
【自由度が高い】
自由度が高いことも独立するメリットです。正社員の場合は就業規則に従って仕事をしますが、独立した個人事業主のインストラクターの場合は、規則に縛られることはありません。しかし、ルールを守らずに働いてよいというわけではないのでご注意ください。くわしいルールは委託契約書やマニュアルを確認しましょう。
インストラクターが独立するデメリット
インストラクターが独立するデメリットを解説します。
- 収入が不安定になりやすい
- 企業バリューが使えない
- 経理作業をする必要がある
【収入が不安定になりやすい】
独立をすると正社員ではなくなるため、収入が不安定になりやすいことが、最大のデメリットです。正社員時代は、毎月ほぼ同じくらいの給料で、独立したあとは収入の増減が激しくなることもあり得ます。
また、「突然収入が落ちるのではないか」、「案件の依頼がないのではないか」という不安を抱くこともあるでしょう。
【企業バリューが使えない】
たとえば、有名フィットネスジムの正社員として働くインストラクターであれば、「この人は、有名ジムのインストラクターだからスキルがあるだろう」と信頼されて、顧客がつくことがあります。企業名の恩恵を受けることができるのです。
しかし、個人事業主として働く場合は、自分の名前だけで集客しなければいけません。自分のスクールを開業する場合は、1からスクールを広める必要もあります。
【経理作業をする必要がある】
業務委託契約を結んでスクールのインストラクターをする場合は、企業側に請求書を提出します。この請求書はインストラクター側が作成することが一般的です。さらに報酬を得たら、帳簿に入力するなどの経理作業が必要です。
インストラクターが独立するときの注意点
インストラクターが独立するときの注意点について解説します。
注意点は次の4つです。
- 会社に独立する旨を伝える
- 顧客に独立することを伝えてよいか会社に確認する
- 自己資金を準備しておく
- 経理の知識を得る
くわしく解説します。
【会社に独立する旨を伝える】
A社の正社員から独立してインストラクター業をする場合は、独立する旨をA社に伝えることをおすすめします。
A社から独立したあと、A社で知り得た情報を顧客に伝えるとトラブルになることもあります。A社から独立し、A社の競合他社であるB社と業務委託契約を結ぶことでも、トラブルになることもあり得ます。A社の人が「うちで得たスキルをB社で活かすのか」と感じることもあるのです。
独立することを事前に伝えて、円満に退職しましょう。
【顧客に独立することを伝えてよいか会社に確認する】
A社の正社員インストラクターとして働いていて、自分に顧客がついていたとします。独立する際に、自分の顧客に独立することを伝えてよいかA社に聞くことをおすすめします。
A社の許可を得ずに顧客に「A社を退職してB社でフリーランスとして働きます」と伝えると、その顧客がA社を辞めてB社に移る可能性もあるのです。これだとA社が、「顧客を連れていかれてしまった」と感じるでしょう。トラブルにもなるため、独立する際は、顧客にそのことを明かしていいのか確認してください。
【自己資金を準備しておく】
インストラクターとして独立する際は、資金が必要になることが多いです。自宅を仕事場にするのであれば、設備を整える必要があり、場合によってはリフォームもするでしょう。パソコンやスタジオレンタル料などの経費もかかります。独立後は収入が不安定になることもあるため、資金を用意しておくと安心です。
【経理の知識を得る】
すでに記載したように、業務委託契約を結んで企業から報酬を得るには、請求書の発行が必要です。請求書を発行したら、「売掛金」として帳簿に記入する必要もあります。仕事に必要な備品などを購入した場合は、経費として帳簿に記入するなど、帳簿管理が必要なのです。帳簿への記入は、経理の知識も必要となります。
不安な人は税理士に相談するとよいでしょう。青色申告をする予定の方は、地域の青色申告会に入会することもおすすめです。
まとめ
インストラクターの独立の方法や独立後の働き方、独立をするメリット・デメリットを解説しました。
インストラクターの独立方法として、まず「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を納税地を管轄する税務署長に提出してください。
青色申告をする予定のある方は、「青色申告承認申請書」を提出します。青色申告は節税効果が高いので、独立したインストラクターにおすすめです。確定申告をすることで還付金が得られることもあるでしょう。
独立後のインストラクターの主な働き方は、次の3つがあります。
- 自宅でレッスンをする
- 生徒宅などで出張レッスンをする
- スクールと業務委託契約を結んで仕事をする
自分に合った働き方を選んでください。
インストラクターが独立する主なメリットは、次の3つです。
- 自分のペースで働くことができる
- 複数のスクールで仕事ができる
- 自由度が高い
プライベートの時間を増やしたい方は、独立するとよいでしょう。
独立のデメリットは、次の3つです。
- 収入が不安定になりやすい
- 企業バリューが使えない
- 経理作業をする必要がある
デメリットを把握した上で独立しましょう。
インストラクターとして独立する際は、次のことに注意をしてください。
- 会社に独立する旨を伝える
- 顧客に独立することを伝えてよいか会社に確認する
- 自己資金を準備しておく
- 経理の知識を得る
独立後もスムーズに働けるよう、上記の注意点も事前にチェックしておいてください。
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